関係性の科学ー東洋思想の再評価ー

今からおよそ50年ほど前、オーストリアの美しい小さな村アルプバッハに15人の科学者が集まり、生命及び科学の本質について議論を行った。呼びかけたのは、アーサー・ケストラーというユダヤ人のジャーナリストだ。この会議には、遺伝学者、心理学者など15名…

木炭と鉄

「鉄は国家なり」という有名な言葉があります。言ったのはドイツのビスマルク(鉄血宰相)でしたが、我が日本も明治維新以降、この言葉を金科玉条として鉄の生産に励みました。ということで鉄の話をするには、そもそも鉄を作り出す方法について知る必要があ…

かまとこ地蔵

DAIGOエコロジー村のある八王子・恩方地域にも「平将門落人伝説」がありますが、全国各地に散らばる「平家落人伝説」はその真偽はともかくも、地域の人に歴史における悲哀からくる郷土愛のようなものがあります。この話もその一つですが、ちょっと厳しいとい…

自由と平等の対立

フランス革命のテーゼは『自由・平等・友愛』であることは誰もが知っている。このテーゼがその後の民主主義を根本から支える基本概念となったことには誰しも反論しないだろう。そのフランス革命から200年以上経過した現在、しかし、現実の社会は『格差・不平…

エマニュエル・トッドを通して視る左翼幻想

世界の行方を占う手段として、「為替」「株価」などの経済的要因、「民族」「宗教」などを背景とした軍事的要因、そして「イデオロギー」に基づく地政学的要因などが国際政治に関わるあらゆる領域において活用されるのは現代の常識である。それは少なくとも…

久々の友との出会いのプチ旅

連休最後の11日から2拍3日で、福島・喜多方へ移住した旧友先輩の和田典久氏宅を訪問した。和田氏は当方の数少ない人生の友の一人だ。喜多方には今から10数年前に二度ほどお邪魔しているが、ちょっと間が開いた今回の訪問はやはりワクワクした。新宿から高速…

『現実主義の陥穽』(丸山眞男)

現代に生きる個々人或いは組織の葛藤の多くを占める「現実」という逃げ口上を、喝破する丸山眞男のエッセイを評論無しにそのまま掲載する。 <以下引用> 「私はどうしてもこの際、私達日本人が通常に現実とか非現実とかいう場合の「現実」というのはどうい…

国家と自由

「個人の自由」を「国家(権力)」と言う枠の中で主張することの根本的な限界と矛盾があると思える。憲法も最高裁もそれ自身が立脚しているのは「国家(権力)」であり、憲法或いは最高裁が”根源的”な「個人の自由」を認めることはあり得ない。「個人の自由…

水資源の危機

石油資源と二酸化炭素の直接的関係を元にしたCOPにおける議論では、水問題は残念ながら中心的な課題にはなっていない。COPはある意味、石油資源を巡る国際的な国家利権の調整とみることができる。20世紀は確かに化石燃料(の確保)が国際関係でのヘゲモニー…

『文学の責任』

標題の『文学の責任』は1957年、高橋和巳のエッセーから取ったものだが、このエッセーは高橋が25歳の時の作品であり、新進気鋭の小説家として売り出す直前の観念作家としての思いがあふれんばかりのアジテイションとも言えるものである。そこでは、西洋東洋…

縮小社会と地域の自立

京都に「縮小社会研究会」という集まり(フォーラム)があるのを知りました。京都大学の松久寛名誉教授が中心となって定期的(ほぼ毎月)に研究会を開催しています。代表の松久寛教授は『縮小社会への道』という本を編集していますが、その要旨は「我々の選…

奄美墓参行道中記

○故郷墓参行の決意 故郷への長期の不義理をいつもどこかで感じながら過ごしていたのだが、「格安チケットがある」という単純かつリーズナブルな話があり、数年ぶりの故郷墓参行をしてきた。私の故郷は奄美大島である。最近合併により奄美市という名前に変わ…

新自由主義・好戦派の矛盾と気候変動問題

安倍政権が安保法案制定から経済政策へと目くらまし的方向転換を行っていますが、世界経済が一気に軍事需要に向けて走り出す、ということは好戦派がいくら仕掛けたからとて、それほど簡単ではないでしょう。そのような観点から見れば、温暖化対策を楯に排出…

流鏑馬鑑賞”和駒”考

10月4日、八王子で初めて開催されるという流鏑馬を見た。ここのところ、労働に明け暮れる中で気分的に鬱状態になっているところへ、カウンタブローのような憂事があったのでお祓い清めの意味も含め鑑賞した。流鏑馬ではないが35年近く前に京都上賀茂神社の競…

国家・企業親子論

東芝の不正会計処理問題を見て、我が国をここまで経済成長させた功労企業の一 つと言えども、厳しい競争社会においては、結局やることは人間みな同じと思え る。ところで、日本経済が戦後の目覚ましい成長を成し遂げた一つの大きな要因 は東芝のような大企業…

怠けのすすめ

「働かざる者食うべからず」という言葉があります。私たちもこの言葉にそれほ ど疑問を持つことはないものの、「労働」を権利と言うより義務的に考えている ように思えます。内心は「働きたくないが食うためには仕方がない」というのが 結構本音でしょう。と…

『政治における嘘』

標題の『政治における嘘』はハンナ・アーレントの論文の一つの題名である。アーレントは、ベトナム戦争含む対インドシナ戦争に対する当時のマクナマラ国防長官が議会にも秘密裡に作成したレポートの欺瞞性から政治一般における「嘘」の本質について述べてい…

フェミニズムについて

フェミニズムについては学生時代のリブ活動家の女性との議論を思い出す。当時、上村一夫の『同棲時代』という漫画も流行っており、男と女の関係については、その歴史的、政治的、社会的視点からの議論はそれなりに楽しいものであった。当方も男ばかりの議論…

男と女

・男性と女性はそれぞれの役割を与えて神が創り給うた。 ・一方には感性より理性が、もう一方には理性より感性が少しだけ上回るように。 ・男性の理性はどちらかと言えば未来志向であり感性は現実を求めるが、女性の場合はその逆だ。 ・女性はある目的を達す…

行動の差

SEALDsという学生団体の行動がここの所良く取あげられている。「政治に無関心」と言う当代学生気質の世間評判の中にあっては、かなり政治的な行動であり、またその動員数も半端ではないゆえに、マスコミも彼らの行動を追って取材しているようだ。彼らの支持…

安倍内閣のルーツ

一昨日(7日)のBS11【報道ライブ21 INsideOUT】に出演した不破哲三氏の話は興味深いものだった。 現安倍政権に対する評価のレスポンスがどうしても目前の法解釈の技術論的手続論か、或いは戦争と平和の一般論に捉われがちになる中で、安倍晋三と…

人体は通過点

「人の一生は短い、宇宙の歴史にくらぶればその存在は瞬間的なものである。」という話は良く聞きます。これと同じように私たちの人体そのものも、もしかしたら単なる通過点に過ぎないのかもしれません。インプット(入力)とアウトプット(出力)という概念…

ウォルホフィッツ・ドクトリン

ギリシア危機を経済問題に集約する、或いは日本の集団自衛権戦争法案を国防問題に集約する、またAIIB(アジアインフラ開発銀行)問題を金融問題に集約する、、、このような見方はいわゆる「木を見て森を見ない」という格言が当てはまる理解の仕方である。情…

新興仏教青年同盟

新興仏教青年同盟とは在家の日蓮宗信者である妹尾義郎(せのおぎろう)が昭和5年(1930年)に同志とともに立ち上げた仏教改革団体である。昭和5年と言えばいわゆる翌年の満州事変を契機に「15年戦争」に突き進む日本が外に対しては侵略軍事国家として、また…

オオカミ再導入と人間社会

先日、東京・日比谷にて日本オオカミ協会主催の「オオカミシンポジウム」に参加した。シンポジウムのテーマは日本では絶滅したオオカミを再導入(再び野生として放つ)することを目的としたものだが、日本よりいち早くこのテーマに取り組んでいるアメリカと…

タバコ

タバコの常習を止めてから20年以上は経つが、それでも時々はタバコを吸う。常習を止めたのは別に「健康を慮った」訳ではなくただ何となくいつのまにかそうなったが、時折無性に吸いたくなる時がある。体が求めるというより、気分が求めるという感じだろうか…

自己本位からの脱却

昨今、時々いろいろな方から「日本が戦争に向かっている」「憲法9条を守らないといけない」という問いかけを頂きます。炭焼きをしながら、このような穏やかな気持ちで自然とともに至福の時間が過ごせるのもある意味では「平和」であるからだと思われます。炭…

美智子皇后と養蚕と女性

美智子皇后が特別に養蚕に対する意識が高いことは各種皇室関連報道からも結構知られている。背景の説明には、奈良時代より伝わる純日本産蚕の品種である「小石丸」の生産の絶滅を危惧したことと、昭憲皇太后(明治天皇妃)貞明皇后(大正天皇妃)、香淳皇后…

「安倍晋三語録ナショナリズム」批判 ~著書「美しい国へ」語録から~

その①【移民チームでW杯に優勝したフランス】 ≪安倍晋三氏曰く≫『スポーツに託して、自らの帰属する国家やアイデンティティを確認する・・・<中略>・・・フランスは、第二次世界大戦のあと、労働力が不足して大量の移民を受け入れた。だがその後ナショナ…

キューバとアメリカ国交正常化の裏側

ここの所、アメリカとキューバの国交正常化についての報道が賑わっている。日本を含め西側メディアは、「キューバ現体制が望むのは経済制裁解除であり、キューバ市場が開かれればキューバ国民の経済困窮解消につながる」という論調により「困っているキュー…