2013-01-01から1年間の記事一覧

由井忠之進

由井忠之進という名前を知っている人はもうそんなに多くないだろう。私も正直その名前を随分と忘れて久しかったが、記憶の片隅にあったフレーズで思い出した。フレーズとは「国会議事堂前焼身自殺」である。ショッキングな表現だが、1967年11月11日に実際に…

『マルクスが日本に生まれていたら』(春秋社)を読んで

『マルクスが日本に生まれていたら』という本をその題名に少し惹かれ読んだ。作者(正確には“質疑応答集”)は出光佐三。出光興産の創業者である。「正確には“質疑応答集”」と書いたのは、この本が出版された当時(1966年)、出光興産社長室メンバーが出光の…

時代へのアジテーション

思うに時代の変革の構図は不条理な世界ではないか。ある条理に対して同じ条理で対抗する限りにおいては時代を根本的に変革する力にはならないだろう。時代を突き抜く力は人間の根源にまでたどり着かない限り手にすることは出来ない。そういう前提で歴史を見…

政治家の表情と言葉と空気から読み取れること

特定秘密保護法が12月6日に強行採決された。7月の総選挙での自民党及び公明党の“大勝利”からの既定路線通りであり、またこの法律の法理論から歴史的類似法に至るまでの様々な問題点については大体出尽くされたようなので、ここでは挙げない。それよりも、法…

秘密保護法の裏にあるものと対処方

■秘密保護法をなぜ急ぐのか 秘密保護法は多分議会を通過することになるだろう。現状の状況から見て残念ながら政権側のスケジュールにキチンと乗っている。しかし、なぜ彼らはそんなに急ぐのか!多くのジャーナリストが政府関係者にそのことを問質しているが…

創価学会と日本共産党

日本を巡る政治状況がまさに混沌、混乱状況にある今、ふと40年前のあるできごとを思いだした。それは、1975年7月に突如公表された創価学会と日本共産党による「創共協定」である。作家の松本清張が間を取り持ち、池田大作創価学会会長と日本共産党宮本顕治委…

串間市指定管理者選定不正事件における原告陳述書の公開

宮崎県串間市における「指定管理者選定不正事件」については、リアルタイムでご報告していますが、原告の土屋高輝氏(NPOコミュニティ21理事長)より11月1日に行われた第6回公判における原告陳述書を頂きました。本件がなぜ「訴訟」にまで至ったのか、その概…

“革命的”法律!地方自治法94条

私たちは住んでいる町の「議会」や「議員」の存在は民主主義の実践としていわゆる「議会制民主主義」の具現化だと思い込んでいる。確かにそれは間違いではない。選挙権をもった有権者が私たちの代表としての「議員」を選挙で選び、選ばれた「議員」が「議会…

小泉純一郎と山本太郎

今の日本をある意味象徴している出来事である。 小泉純一郎の“発言”と山本太郎の“行動”が日本中に混乱を招いている。これをどうみるか、いろいろ思考するのだがなかなかその切り口が見つからず消化不良状態が続いている。しかし、この二人、年齢、経歴など非…

美智子皇后と五日市憲法②

先日は五日市憲法に対する美智子皇后の発言について書いたが、そもそも現憲法の9条についての背景には様々な説があるが、一つのノンフィクション的仮説として考えてみたい。 その一つの切り口として昭和天皇の母親である貞明皇后(1884年~1951)を取り上げ…

美智子皇后と五日市憲法

美智子皇后は10月20日に79歳の誕生に当たり、宮内庁記者会見への回答メッセージで「五日市憲法草案」に触れた。おりしも日本国憲法改悪の流れが加速化している折の皇后の発言としては異例中の異例だろう。 少し長くなるが引用する。 ・・・引用開始・・・ 「…

ハンナ・アーレント

ハンナ・アーレントはドイツ(ユダヤ系)生まれのアメリカ政治哲学者です。以前(学生時代)から名前だけは知っていましたが、なかなか彼女の書いたものに出会う縁が無く数十年が過ぎましたが、ふとしたことで8月に古書店で購入した『人間の条件』を読んでい…

「10月17日米国デフォルト」とバラク・H・オバマの歴史的存在理由

10月17日のいわゆる「米国破綻(デフォルト)」に向けて、米国内では民主党と共和党のつばぜり合い、内外でもかまびすしい報道合戦が展開されている。メディアは一様に「これでは世界経済が崩壊する」「日本にも悪影響」などという論調が主であり、シリアの…

火遊び

みなさんは、「火遊び」をした経験がおありでしょうか? 最近、いや結構前から「火は危ないモノ」という考えが広まり、学校教育現場は おろか、一般にまで「焚火規制」の法律(ダイオキシン類対策特別措置法等)が 出来てしまいました。私の子供の頃は、「風…

花は花は花として、、、、へのまごうことなき我が心情

震災後から国営放送を中心に流されているあのメロディーと詩。最初から違和感を持ったものだが、最近ますます体全身が拒否反応を示すようになった。メロディはリフレイン効果とでも言うのだろうか、ヒット曲の要素を入れているのだろう。また、詩に至っては…

オバマはなぜシリア攻撃に固執するのか

シリアを巡る情勢が日々目まぐるしく変わって来ている。化学兵器使用疑惑が出たのが8月中旬でその直後には「シリア介入」が顕在化した。しかし、以前から、「政府(軍)VS反政府(軍)」という表層的な捉え方でしか報道しない日本のマスコミだけみていると、…

NHKが取り組んだ秀逸な企画『BS特集 イラク人ジャーナリストが見た戦争』

9月8日朝からの「東京オリンピック開催決定」にはなはだやるせない気持ちになったこの日、どのテレビをみても「開催地決定!開催地決定!」に浮かれ湧く報道を見るのも我慢ならず、幼稚な抵抗で民放の“サザエさん”を見終わった後、狂騒に踊る“NHK7時のニュー…

柳田國男に見る炭焼男の『山の人生』と福島原発

民俗学者の柳田國男の書いた中に『山の人生』という話があります。この序文に、「-山に埋もれたる人生あること-」として炭焼人の子殺しの話が出てきますが、これを書いた大正期から現在に至るまでもこの話についてはいろいろな物議(議論)を醸し出していま…

『マルコムX自伝』(河出書房)を読んで

米国における黒人解放運動と言えば、真っ先にM.Lキング牧師の名前が上がるだろう。ちなみに今年の8月28日はキング牧師の『私には夢がある』という演説(1963年)から50年となる。しかし、もう一人、マルコムXを語らずに米国黒人解放運動を語るのはそれこそ片…

長野県小川村での一日 -菊本嘉一氏との出合い―

8月14日、長野県上水内郡小川村まで日帰りで行って来た。JR高尾から中央線・篠ノ井線鈍行乗継で約5時間の行程で長野まで行き、そこから車で大町街道を白馬方面へおよそ30分走るとそこが小川村である。「日本で最も美しい村連合」にも加盟しているだけあって…

8.15を前にして

今年も8.15が来る。 原爆投下の8.6広島、8.9長崎もそうであるが、これらの日が形骸化されたイベントデ―に成り下がって久しい。時の首相の靖国訪問だけが取りざたされ、右と左の硬直した主張のリフレインの集会が毎年繰り返される。原爆デーにおいても「核兵…

ある恩人への手紙

<まえがき> 先日三島由紀夫についてのコメントを出したところ、ある方からこっぴどい“逆コメント”を頂いた。私の人生にとって大きなまた且つ思想的影響を頂いた恩人でもある。その逆コメントに対して、彼への反論ではなく心情の吐露として出した手紙だが、…

再認識した作家”三島由紀夫”

三島由紀夫と言えば我々の世代(60以上)には、彼の作品を読んだ、読まないに かかわらず、非常に近い存在ではないでしょうか。もちろん、自衛隊駐屯地にお ける「ハラキリ」が最も衝撃的な”関わり”でしたが。私は高校生の頃に最初に読 んだ三島作品は『不道…

大川周明のこと

先般、神奈川県愛川町にある古民家「山十邸」に行った。敷地1000坪はある山十邸は愛川地域の豪農だった熊坂家の住居として、明治初期、熊坂半兵衛の代に建てられたものだ。ちなみに「山十」とは熊坂家の屋号である。母屋は当時には珍しい瓦葺で24畳の大広間…

再び宮沢賢治のこと

■(先月に続いて)宮沢賢治のこと 先月号で宮沢賢治の「アメニモマケズ」の詩のことを書きましたが、今月も引き 続きこの件についてのお話です。 先月号でこの詩の中の「デクノボー」がなかなか理解できない、と書いた手前、 自分なりに調査研究したところ、…

経済人類学的視点「贈与経済」のすすめ

経済人類学という学問領域がある。ちなみにウイキペディアでは「文化人類学は一般に非西欧社会を対象にしてきたが、そうした社会における経済システムは市場メカニズムに基づく資本主義社会のものとは異なる原理によって動かされている。経済人類学は、農村…

安倍政権に宗主国からクレーム!

日本全体が福島や改憲などのことも忘れ一億総GWに呆けている真っ只中の5月1日に、アメリカ連邦議会調査局から安倍総理及び安倍内閣の一連の言動及び行動について、「米国の利益を損ねる恐れがある」と明記され、「安倍は強硬な国粋主義者として知られ、その…

FB雑感

ここの所FB(フェイスブック)に関するいろいろな意見を聞く機会を得ている。 斯く言う私自身もFBを始めて3年近くなるが、確かにいろいろ問題・課題も 出て来たようである。 ある調査では、昨年11月は国内1670万人のユーザー数だったのが、今年に 入り1380万…

アメニモマケズ

最近、宮澤賢治に関連する機会が何度かあり、しばらく忘れていた、「アメニモマケズ」の言葉を思い出しました。この詩(言葉)は戦前、戦後と修身や国語の教科書に必ず掲載され、日本人であれば誰でも一度は読んだことでしょう。非常にわかりやすい表現であ…

社会が経済を変える

P.ドラッカー『ネクストソサイエティ』2002年】 第4章 資本主義を越えて <抜粋>P203~204 ・資本主義のまちがい 私が支持しているのは資本主義ではなく自由市場経済である。・・・資本主義に対しては重大な疑念を抱いている。経済を最重視し偶像化してい…