2014-01-01から1年間の記事一覧

なかなか面白い「ビックコミック」

漫画家の浦沢直樹が「読者がお金を払わなければ、「あるべき関係性」が結べない」と話していたが、彼の発言の意図とは違うかもしれないが、「お金を払う」行為は「対価」ではなく購入側(読み手)の「覚悟」だと私は思う。その「覚悟」を創刊号以来ずっと続…

ブル新

かつて60年、70年代の闘争時に「ブル新」という言葉があった。「ブルジョア新聞」の略であるが、そもそも、基本的に利益追求の資本の論理で事業展開する大新聞に対する揶揄と、闘争する側の基本認識としての大新聞に対する批判的姿勢の表現でもある。当時の…

不思議な夢 臨死体験

昨夜の夢はとても不思議だった。いわゆる「体外(幽体)離脱」というものだったように思える。夢の中で私は車を運転していたのだが、途中でブレーキが効かなくなり必死にブレーキを踏むもそこは下り坂。スピードは益々上がり、その先のカーブ(確か左カーブ…

官僚制支配

我が国が「官僚支配制国家」と呼ばれることについては、政治的立場の違いを超 えて共通の認識でしょう。その滑稽な特徴が図らずもCOP20が開催されたペ ルー・リマにおける日本政府代表団の部屋割りに見られました。毎日新聞はこれ を「日本は縦割り 省庁別、…

アムウェイのこと

今から20年近い前になろうか、仕事で知り合った水産庁の役人から「ホームパーティ」の誘いを受けた。正確に言えば、彼が拙宅に来て一緒に食事を作りながら「お話しましょう!」という企画だった。これを断る理由もなくむしろ営業の一環と考えて快諾した。当…

数値化の問題点

気象庁が東京都心の観測ポイントを30年ぶりに変更しましたが、そのことにより都心の年間平均気温が一℃以上下がり、また冬日も相当増えるとの報道がありました。となると、近年気温の上昇による異常気象はすべて「地球温暖化」という説明がなされて来ましたが…

『討論 三島由紀夫 VS 東大全共闘』 ≪美と共同体と東大闘争≫

古本をネットで思いついた時に買うことが最近頓に“趣味化”してしまった気配がある。ネット古本サイトは結構至便且つ使い勝手が良い。本の体裁状況や価格も書店別に比較できる。気づいたら、書店へ足を運ばなくなって随分久しい。時々は新刊をアマゾンでも購…

賀川豊彦の「宇宙の思想」

神戸生協の創始者の一人でもある賀川豊彦の人生は波乱に富んでいる。 自らの生い立ちも関係しているのだろうが、それは徹底した弱者の側へ立つ信念とその弱者を産む社会悪との闘いでもあった。 かれの信念が言葉だけのものではなく体を張ったものであったこ…

// 投稿 by 川口 武文.

// 投稿 by 川口 武文.

美智子皇后誕生日発言に思う

★記者質問:「戦争を知らない世代が増えているなかで,来年戦後70年を迎えることについて今のお気持ちをお聞かせ下さい。」 ★美智子皇后:「私は,今も終戦後のある日,ラジオを通し,A級戦犯に対する判決の言い渡しを聞いた時の強い恐怖を忘れることが出来…

もういちど「固定相場制」へ戻す選択

毎日のテレビのニュースの後に必ず「本日の為替は・・・」と言うアナウンスが あります。最近は天気予報と同じ感覚で聞くような感じになりましたが、これの 基になる「変動相場制」はそれほど古い歴史ではありません。それまでは「固定相場制」でありしかも…

オオカミ伝説と御岳山

先月噴火した御嶽山(おんたけやま)とよく似た名称の山が奥多摩にある御岳山 (みたけさん)です。ちなみにこの山の麓にあたる多摩川河川にはエコロジー村 で製作した炭窯(ドラム缶)もあります。それはさておき、今年の8月に御岳山 への観光客が減少して…

劇団民藝『コラボレーション』

劇団民藝の戯曲『コラボレーション』を鑑賞した。 ドイツの作曲家R・シュトラウスとS・ツヴァイクとの友情をベースにナチズムへの批判を、政治と芸術という双方の立場から描いたものだ。 戯曲は活字を立体的に表現したものなのでやはり脚本・演出と俳優の力…

三島由紀夫『文化防衛論』再読、雑考

三島由紀夫の『文化防衛論』を再読した。初めて読んだのは高3の三島自決1年前だから、45年振りの読み返しとなる。本書を読んだわずか1年後に三島があのようなことを”起す”とは思いも知らず、当時左翼少年だった私は当然ではあるが知的レベルは三島より…

輿論(よろん)と世論(せろん)

『もともと「世論」というのは、世間にある雰囲気という意味でした。理性的に議論されて作られる意見は「輿論(よろん)」といった。公的な責任ある言論を指し、両者は戦前まである程度は使い分けられていた。それが戦後、当用漢字から「輿」の字が外され、…

科学不信の碑

御嶽山の噴火による被害は戦後の火山災害では最大の犠牲者を出すこととなった。まずは被害者への哀悼の意を表したい。 私は世界でも最大級の火山の一つである桜島を対岸わずか4kmの距離に眺める鹿児島市で生まれ育った。ものごころついた時から、火山降灰…

中央の危機と周辺、その構造暴力的支配への闘い

スコットランド独立は住民投票の結果否決された。 この住民投票の動向に示したイギリス政府の狼狽は見ていて「溺れる者わらをもつかむ」という表現がぴったりであった。 首相のキャメロンはこのように言った。 「わたしのことが嫌いでも、わたしは永遠に首相…

リサイクルの現場のもう一つの現実

時々リサイクル業を営む友人の手伝いをしています。 これまで、客観的な 立場からリサイクル業界を眺め、また仕事柄調査分析なども行って来ましたが、直接現場サイ ドに立ったのは初めての経験です。 やはり現場に立たないと見えないものがいろいろあること…

柳田國男の『炭焼日記』

民俗学者の柳田國男の『炭焼日記』は昭和19年1月1日から昭和20年12月31日まで の終戦直前直後の最も厳しい時期の日記です。 題名からもわかるように柳田は、 終戦直前の食べ物にも困る状況の中で当然燃料の薪炭にも困窮することから、自 宅で炭焼を見よう見…

【人間のモノ化】

科学の進歩発展が人間に幸福をもたらすと考えられたのは19世紀から20世紀にかけての時代だと思われるが、確かに人間は、少なくとも先進国においては快適な生活が実現され、また月へもロケットを飛ばした。 科学技術への信仰を背景に、資本主義陣営と共産主義…

細川護煕氏の反省にとりあえず納得

細川護煕氏がある媒体インタビューで述べています。 彼曰く、 「私を含め、小泉さん、歴代総理にしても、とにかく原発で作る電気は安くて安 全だということを言われ、騙されてきた。それで、58基も建ててしまった。その ような不名誉を、私自身も恥じなけれ…

言葉を武器にする

田中 希生という若手の論客がいる。 たまたまあるテーマの検索を行っている時に知った方だが、彼の「政治と文学、国家の安全保障」という小論文の中の「兵器と武器は違う」「今こそ言葉を武器にすべき」という表現に出会い、今までなかなか解答を得ることが…

モトクロスに呆けた遅い”中年時代”の思いで

TVが「鈴鹿8耐」をやっていた。オートバイ好きならだれでも知っている夏の風物詩にもなっているオートバイレースだ。ちょうどコーナーで転倒しているシーンが出たところだった。オートバイの転倒は必ずと言っていいほどマシンとともに転がり、マシンに体を巻…

経団連政治献金議論浮上 もう一つの独占

政治権力の”一方的”独占がその国の国民にとってもっとも「安全」への必然的脅威となるのは歴史が証明している。 ”一方的”独占は必ず権力乱用につながる。この”一方的”独占には二つのタイプがある。 一つはヒットラーナチズムやスターリン主義のような「公然…

科学と科学主義の違い

故郷鹿児島の高校の先輩でもある哲学者の山崎行太郎氏が「小保方問題」につい てユニークな、しかしある意味本質的な議論を継続している。 氏曰く「小保方事 件、STAP細胞事件は科学研究レベルの事件にとどまらず。現代日本の思想的劣化 という思想問題であ…

『平和の論理と戦争の論理』(久野収)

前回、本ノートで、米国の『鉄の山の報告』について述べたが、この戦争を肯定する側の論理に対する平和を希求する側の論理が余りにも稀薄であると評した。しかし、あの手この手を使いながら戦争状態を構築していく状況は日々に顕在化してきている。私自身も…

『鉄の山の報告』

昨年9月25日、安倍晋三が米国の有力保守系シンクタンクであるハドソン研究所から、同研究所の創設者故ハーマン・カーンの名を冠した「ハーマン・カーン賞」を受賞した。ウォールストリートジャーナル紙は、「同賞は、保守的な立場から国家安全保障に貢献した…

ルソーは友達

ルソーの『告白』第1部を読んだ。 ルソーとはあの「社会契約論」のジャン・ジャック・ルソーである。 それまで教科書的知識しかなかったルソーに対する興味が愕然とわいたのは、古書店でたった50円で買ったルソーの『人間不平等起源論』を読んだからである…

「洋物」への感謝

戦後生まれだから仕方がない面もあるかもしれないが、いわゆる我が国の戦後精 神は敗戦という環境もあり、「洋物」の論理が世を席巻してしまった。そのよう な思考風土の中で育ったわけで、確かに「洋物」の論理には切れ味と深さがあ り、加えてカルチャー的…