2016-01-01から1年間の記事一覧

世界の矛盾

■<導入(起)>「世界唯一政府」か、「多様・多極分散型政府」か! 前回「破壊と創造」について書きましたが、世界は「破壊と創造」だけではなく、同時に「統合と分裂」というベクトル軸も働いています。「分裂」と「破壊」、或いは「統合」と「創造」はそ…

「近代国家」を乗り越える思考

思考の突破(ブレークスルー)は「現実を疑うこと」で可能になる。トランプ現象へのさまざまな反応を見ていると、現象(事実)の追随或いは事実を絶対前提条件とする思考しか見えて来ない。ここで言う事実とは、一つは「トランプが大統領になる」ということ…

創造と破壊をくり返す歴史

アメリカ大統領選挙結果については我が国のマスコミ、SNSなどあらゆる領域、階層から様々な評論が飛び交っています。ヒラリー(当選)を想定内として期待していた向きには相当なショックの様です。それは現政権支持派だけでなく反支持派においても共通な認識…

炭焼党員の恋 

18世紀末から19世紀初めにかけて、イタリア統一前のナポリ王国に炭焼党という秘密結社が誕生した。この頃のイタリアはまだ複数の小規模王国が強力なオーストリア帝国に支配されていたが、時はフランス革命を経てナポレオンがその勢力を伸ばしている頃、その…

低炭素社会と豊洲問題

東京の豊洲市場問題が連日マスコミを賑わし、ネット上でも政治的、経済的、社会的視点からの意見が様々に飛び交っています。「低炭素社会」の創造を儚い力ながらも目指している私たち研究会にとっても、豊洲問題は直視しなければならない問題であるという認…

観念と経験について

経験から観念が生まれるのか、観念が行為を決定し経験になるのか、有体に言えば「卵鶏論争」レベルの話にもなるが、実在する社会は全くカオス状況であり、そこには経験と観念がせめぎ合いと混ざり合いを絶えず繰り返している。我を主体として外を見れば社会…

男性<主流>文化から女性<主流>文化への転換

人類の歴史は、「男」と「女」という根源的2大本質から作られて来た。宗教的に言えば、アダムとイブの原罪から始まった。しかし、我々が確認できる歴史においては、この2大本質は一方的な従属関係、支配被支配関係に固定され、そこから作り出される人間の文…

唐十郎『少女仮面』鑑賞記

不条理劇が今日の社会においてどれほどの影響力を持つことが出来るのか、その可能性を少しは期待できそうな演劇だった。この劇が演じられた1969年は日本社会が60年安保に続く戦後2番目の動乱時期であったが、60年の政治闘争が文字通り「政治イデオロギー」に…

「パリ協定」の政治戦略と我が国

9月3日、米中両政府がCOP21で採択された温暖化対策「パリ協定」を批准したというニュースは耳新しいところです。日本ではオリンピック狂騒に遊び呆けた後に、またぞろ中国との軍事的緊張だけを一方的に報道する相変わらずのマスコミの姿勢が目立つ中で、この…

「パリ協定」の政治戦略と我が国

9月3日、米中両政府がCOP21で採択された温暖化対策「パリ協定」を批准したというニュースは耳新しいところです。日本ではオリンピック狂騒に遊び呆けた後に、またぞろ中国との軍事的緊張だけを一方的に報道する相変わらずのマスコミの姿勢が目立つ中で、この…

健康と不健康の境目

テレビのCMを見ると「健康関連グッズ」のオンパレードです。高い宣伝広告費を 払えるということは、そのようなグッズが売れているからであり、また「健康」 をとにかく気にする人が多いということでしょう。CMだけでなく、テレビの番組 でも「健康に関するも…

土屋高輝さんを悼む

土屋高輝さんと初めてお会いしたのは、共通の友人であった和田典久氏の紹介が切っ掛けだった。その頃北新宿にあった私の事務所に和田氏と一緒にお出でになられたのは、記憶は定かではないが確か平成12年の春の頃だったように思う。しかし、お会いする以前か…

仮想通貨

金融経済については余り知識はありませんが、というかもともと興味が無いのですが、とはいえこの社会に生きている以上、金融(カネ)が私自身の物質的生活基盤の要諦となっているのは事実でありそこから逃れることはできません。さて、今年の2月、東京三菱UF…

天皇明仁と人間明仁

平成天皇が「生前退位」という”お気持ち”を表明されました。朴訥と語る口調のおよそ11分の全文は1823文字からなっています。普通5分間スピーチで1500文字と言いますから、天皇はその倍以上の時間をかけてスピーチを行ったことになります。天皇の口調をモノマ…

安倍晋三と今上天皇

安倍晋三の祖父である岸信介と昭和天皇の関係はそれほど良いものではない。東条英機内閣の閣僚だった岸信介はA級戦犯になったにも関わらず、戦後総理大臣になったのは、GHQが児玉誉士夫、笹川良一などともに米国のスパイになることを条件として釈放したから…

中小企業の小考察

先日の参院選時にテレビのインタビューに都内の中小企業経営者がこのように語っていました。「(アベノミクスによって)景気が良くなり、我々中小企業にも大企業からどんどん仕事が入って来ることを期待しています」と。アベノミクスの是非はともかくも、こ…

オリジナルと複製

ちょっと前にあったオリンピックエンブレム「コピー」騒動ですが、現代の技術はいやおうなしに「複製」を極限に可能とするものです。複製の技術を歴史的に見れば、その始原はまず「写真」に求められ、次いで写真(静止画)を動画化する「映画」が指摘される…

離婚劇としてのイギリスEU離脱

イギリスがEU離脱する。我が国を含む先進国の報道をみていると悲観的な論調がほとんどであるが、その根拠は「カネ」でしかない。EU離脱が「やれ株価が下がる」「やれ円高だ」「日本企業が危ない」、、、、挙句の果てが、「年金がもらえなくなる」という脅し…

「電力自由化」の裏読み

この4月からこれまでの大規模需要者にのみ対象だった電力小売り規制が緩み、一般家庭も対象となったいわゆる「電力自由化」制度が始まりました。これを受けて、事業チャンスとばかりに4月時点での電気事業者登録数は大小合わせおよそ800社余りに上ります。こ…

マルコムXとカシアス・クレイ

モハメド・アリが死んだ。世代的には一世代上になるが、やはり同時代のヒーローというよりアンチ・ヒーロー的存在だった。「モハメド・アリ」という名よりは、「カシアス・クレイ」いう名の方が私にはしっくり来る。彼がヘビー級世界チャンピオンになった頃…

オバマ大統領の広島でのスピーチについて

先日のオバマ大統領の広島訪問及びスピーチについては、少し考えるものがありました。彼のスピーチは日本のメディアはもちろんのこと、海外メディアでも概ね評価されたものとなっています。また多くの日本人が「感動した!」と思っているようです。確かに、…

奄美・沖縄「独立論」の裏にあるもの

またもや沖縄で起きた米軍による殺人事件。いつになったら「沖縄問題」は解決するのか。果たして「解決」とは一体どのような状態を指すのか。頭がうまく回らない中で何とか考えてみようと思い書いた。 ■支配権力側の視点 沖縄返還から45年が経った。同じ敗戦…

低炭素社会へのアプローチ考

平成24年に独立行政法人科学技術振興機構が出したレポート『低炭素社会づくりのための 総合戦略とシナリオ』の中、「6章3.低炭素社会構築促進への社会システム・デザイン手法の適用」では、低炭素社会のイメージとして、(低炭素社会とは)「資源浪費型の人…

法衣と権威に弱いのは誰か!?

一休さんの頓智ばなしは子供時代に聞いてもなかなか面白いものですが、世の中のいろいろな経験を重ねた今でも、読み返すと子供時代の解釈とはまた違った、言い換えれば奥が深いというか微妙な人生の機知のようなものも感じさせてくれます。その一休さんのと…

中央構造線上における地震の連鎖へのあるべき態度

「連動型地震」というのは学会的には仮説ということらしい。気象庁が「想定外」という表現で今回の”多発地震”について説明していたが、「科学的に証明されたものでないと信用しない」という相変わらずの悪しき科学主義から出た見解と言わざるを得ないだろう…

関係性の科学ー東洋思想の再評価ー

今からおよそ50年ほど前、オーストリアの美しい小さな村アルプバッハに15人の科学者が集まり、生命及び科学の本質について議論を行った。呼びかけたのは、アーサー・ケストラーというユダヤ人のジャーナリストだ。この会議には、遺伝学者、心理学者など15名…

木炭と鉄

「鉄は国家なり」という有名な言葉があります。言ったのはドイツのビスマルク(鉄血宰相)でしたが、我が日本も明治維新以降、この言葉を金科玉条として鉄の生産に励みました。ということで鉄の話をするには、そもそも鉄を作り出す方法について知る必要があ…

かまとこ地蔵

DAIGOエコロジー村のある八王子・恩方地域にも「平将門落人伝説」がありますが、全国各地に散らばる「平家落人伝説」はその真偽はともかくも、地域の人に歴史における悲哀からくる郷土愛のようなものがあります。この話もその一つですが、ちょっと厳しいとい…

自由と平等の対立

フランス革命のテーゼは『自由・平等・友愛』であることは誰もが知っている。このテーゼがその後の民主主義を根本から支える基本概念となったことには誰しも反論しないだろう。そのフランス革命から200年以上経過した現在、しかし、現実の社会は『格差・不平…

エマニュエル・トッドを通して視る左翼幻想

世界の行方を占う手段として、「為替」「株価」などの経済的要因、「民族」「宗教」などを背景とした軍事的要因、そして「イデオロギー」に基づく地政学的要因などが国際政治に関わるあらゆる領域において活用されるのは現代の常識である。それは少なくとも…