IMF”死神”副総裁の警告

IMFのデビッド・リプトン副総裁は別称死神と言われている。かつて韓国がIMFの 救済金融計画を受けた際にその指揮を執ったのがリプトンで、その辛辣さに韓国 の経済官僚の間で彼はそう呼ばれた。その彼が、今月4日に韓国ソウル大学金融 経済研究院の主催で開かれたセミナーで下記のような発言をした。

・「韓国は社会的階層移動が難しく中産層が崩れている。再分配政策を通じ不平等 を減らさなければならない」

・「社会階層間の移動崩壊、中産層の減少、労働市場の二分化、高齢者の貧困、性 的不平等がその特性だ」

・「国家間の不平等は減っているが、国の内部の不平等はむしろ増加している。韓 国も例外ではない」

・「興味深いことに不平等が激しくなる国は成長が低下し、反対の場合は急速に成 長するのを数年間見てきた」

・「韓国も社会階層間の移動、中産層再建など、ますます悪化する不平等を防ぐた めに政府が公共社会支出を増やさなければならない」

この発言を巡って、ネットではいわゆるネトウヨと言われる一派が韓国攻撃に血 眼をあげているが、リプトン発言は彼の意図はともかくも、主語(韓国)に力点 があるのではなく、述語の内容こそが真に問われるものだろう。まさに日本国に 否、世界中にも当てはまる問題ではないか。 彼の発言は決して真新しいものではなく、古くはシュンペンターやケインズ、新 しくは昨今話題のピケティ含め述べている論点だ。確かに、世界資本主義の総本 山巣窟の一つのIMF首席副総裁がこのような発言をしたことは「厚顔無恥」と 言えないこともないが、それはそれとして意味ある発言として捉えなければなら ない。