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『討論 三島由紀夫 VS 東大全共闘』 ≪美と共同体と東大闘争≫

古本をネットで思いついた時に買うことが最近頓に“趣味化”してしまった気配がある。ネット古本サイトは結構至便且つ使い勝手が良い。本の体裁状況や価格も書店別に比較できる。気づいたら、書店へ足を運ばなくなって随分久しい。時々は新刊をアマゾンでも購入するが、キンドルの価格攻勢もあり、立地商売の既存書店がどのような生き残りを掛けて来るのか、少し気になるところである。

さて、前置きが長くなったが、先週購入した『討論 三島由紀夫 VS 東大全共闘 ≪美と共同体と東大闘争≫ 』 は懐かしく思いながら、古いアルバムをめくる感覚で読んでいたが、懐古趣味どころか、のっけから現実との対比の“新鮮さ”とでもいうのか、目が覚めた思いであった。本書は、余計な注釈は一切なく、当時のやり取りの録音を元に書き起したものなので、ノンフィクション・ドキュメントと言ったほうが良い。

まずは、三島の“あいさつ”(と言うのか?!)の

「・・・・私は、自民党はもっと反動であってほしいし、共産党はもっと暴力的であってほしいのに、どっちももたもたしている・・・・・・人間はやるときにはやらなきゃならんと思ってますからその時にはやるでしょうが、それがいつ来るかまだわからない。わからないのは諸君がだらしないからである・・・・私は合法的に人間を殺すことが好きではない・・・私は一人の民間人である。私が行動を起こすときは、結局諸君と同じ非合法でやるほかないのだ・・・・そういう時期がいつ来るかわからないが、そういう時期に合わせて身体を鍛錬して『近代ゴリラ※』としてりっぱなゴリラになりたい・・」

(※注:この討論会において全共闘は三島をこのように呼称した)には、会場から爆笑と拍手があった。このような三島の”挑発的言辞”に、対する学生側の反応も結構鋭い。三島が作った「楯の会」と全共闘バリケード解放区のやり取りがこれだ。

 

(学生)「・・・おそらく自同律に苦しみ抜かれて自衛隊の中で遊んだり、楯の会という裏国家を作ったりするみたいなことはゲームじゃないか」

(三島)「・・じゃあ解放区はゲームじゃないのか」

(学生)「あれは遊戯です。遊戯とゲームは違います」

(三島)「ああそうかい。ゲームは英語で遊戯は日本語で、それだけの話だな」

(学生)「遊戯の場合、あらゆる主観と所有を放棄した地点で、そこに構造的にスカッと立体化されちゃうわけですからね」

(三島)「遊戯のほうはスカッと立体化して、ゲームのほうはスカッと立体化されないのをゲームという・・・?」

(学生)「あなたの場合、一つの志向があるでしょう。遊戯の場合は、他志向からは生まれない行動です。ゲームの場合、少なくとも他志向がある程度ありますしね。あなたはゲームをデマゴーグに変えようとしているわけですけれでも、日本がなければ存在しない人間。」

(三島)「それは僕だ。(笑 拍手)」

 

・・・・とまぁ、このようなやり取りが続く訳である。

討論は、3時間ちかく続いたが、その内容は極めて濃いものであり、テーマは「暴力」から「自然」「階級」「時間と空間」「天皇」・・・とまるで「哲学」のいわば実践の授業のような雰囲気もあったようだ。立ち位置或いは思想信条如何に関わらず「思っていることを討論しあう」環境というものは、言葉の激しさのやり取りにも関わらず双方にある種の「共通感覚」のようなものを生み出す力があるのかもしれない。もちろん、討論に参加するものの資質は当然問われるのだが、このような議論が逆に参加者の思考力を鍛えることにもなる。今の東大は及ばず全国の全ての大学の状況をみれば、このような討論会が学生主催で企画され、また当時は破竹の勢いもあった“鬼才”三島由紀夫がその学生の企画に乗り、政府権力に対する右と左からの揺さぶりをかけたことの痛快さはやはり歴史に残るものではないか。現代において、たとえば村上春樹を呼び、彼と同次元の立場で討論するというようなことは少なくとも学生主体の企画などでは起きていない。また、小泉純一郎の「反原発発言」について、慶応義塾の学生は小泉を呼んでそこで「反原発派」或いは「推進派」と討論させれば面白いと思うのだが、、、、。どう考えても無理なようだ。特定秘密保護法などというものがまかり通るようになれば、なおさらであろう。

三島の言葉を再度あげる。

 

「・・・私は彼らの論理性を認めるとしても、彼らのねらふ権力といふものがそれほど論理的なものであるとはかんがへないのである。そして彼らが敵対する権力自体の非論理性こそ、実は私も亦闘ふべき大きな対象であることは言ふを俟たない。もし万一私がその権力を真に論理的なものとすることに成功した時に、三派全学連もまたその真の敵を見出すのではなかろうか。」

 

暴論と言われるかもしれないが、現代の学生諸君に言いたい。

 

「”権力”というものに徹底的に反抗しろ!さすれば道は拓かれる!」

 

 

<あとがき>

本書は450円で購入した。送料は77円。合計527円である。

https://www.kosho.or.jp/book/keyword/%E8%A8%8E%E8%AB%96%20%E4%B8%89%E5%B3%B6%E7%94%B1%E7%B4%80%E5%A4%AB%20VS.%20%E6%9D%B1%E5%A4%A7%E5%85%A8%E5%85%B1%E9%97%98/1,100,1,0/