政治家の表情と言葉と空気から読み取れること

特定秘密保護法が12月6日に強行採決された。7月の総選挙での自民党及び公明党の“大勝利”からの既定路線通りであり、またこの法律の法理論から歴史的類似法に至るまでの様々な問題点については大体出尽くされたようなので、ここでは挙げない。それよりも、法案採決までの自民党の政治家の表情・言葉に興味を抱いてしまった。これまでの「原発」や「TPP」、「消費税」の諸問題に対する自民党の政治家の表情・言葉は、事の是非論は別として、少なくとも信念や自信というものを感じさせるものであったが、この特定秘密保護法に関しては、彼らの表情・言葉は何とも“不安”或いは“自信の無さ”が表れていた。私は占い師ではないが、人間60年以上も生きて来ると、いくら表情・言葉を無理やり取り繕ってもその内面の心理はどこか隠すことができないものである。また俗的言い方であるが、顔はその人物の経歴と本性なのである。

安倍晋三以外でもっとも、メディアの露出度が高かったのは、担当相の森雅子だろう。次に、石破茂中谷元だろうか。特に森雅子は、心の動揺を何とか隠そうとする固い表情は私には印象的だった。また福島みずほとの論戦でも「気が強い」とされる彼女にしては防戦一方であった。もちろん法そのもののいい加減さがあるので反論の仕様もないのだろうが、、、。石破茂については、安倍晋三と同じで、熟慮しない子供にありがちな低レベルの駄々っ子にしか見えない。彼の「デモもテロ」という発言などはその思考の浅さを物語っている。あるブロガーに言わせると“とっちゃんギャング”だそうだが、キャンディーズの追っかけをしていたという噂もあるくらいなので、言い得て妙である。中谷元に関しても、その経歴からみればタカ派であるが、「強硬採決ではないか」という記者の問に、「そういわれればそうかもしれない、、、しかし時間がなかった」などと応え、また採決前のメディアにおける野党との論戦でも答えに窮する場面は幾度もあった。良く言えば、自衛隊出身でもあり、ラグビー部や極真空手などスポーツマンの面が、彼の“素直”さとして表れていたように見える。

さて、このように政治家一人一人を主観的にやり玉にあげて溜飲を下げたところで自己満足でしかないので、これ以上は言わない。そうではなく、このような本法に対する自民党の政治家の表情・言葉から見えて来るものに、この政党組織(自民党)は一般の株式会社と同じ“空気”が漂っているのではないか、ということだ。安倍“世襲”社長、麻生“世襲”副社長、菅“たたきあげ”総務部長、石破“おたく”経理部長、森“抜擢”経営企画課長、中谷“コネ”営業部長、、、、に平社員(陣笠)という構図にしてみると分かりやすいのではないか。政党助成金という“固定売上”に加え、与党としてのうまみの収入もあるだろう。これに「党議拘束」の縛りがあれば、議員個人は単なる数合わせであり、彼らの仕事はとにかく自ら考える必要もなく、採決時にちょっとした役回りを演じるだけで良い。しかも次の選挙は3年半後だ。ここで自らの主張を通すより、会社の方針に従った方が得策というものだ。会社の方針と違えば、辞めるしかない。安倍“世襲”社長は果たせなかった創業者祖父(岸信介)の想いを実現するんだ、という単純志向だけで突っ走っている。世襲なので、事業を立ち上げ遂行する上での苦労は全然わからない。小さい頃から「おぼっちゃま」で育ち、気が合う者としか友達になれない。しかし、彼の周りや係累ネットワークをみれば“すごい”としか言いようがない。さて、このような会社に入ったとすれば、そこの会社の“空気”をまず読み切るものが出世の第一歩というものではないだろうか。このあたりの心理は会社勤めをほとんどしていない私には想像でしかないが、、、。

とにかくも、彼ら(安倍以下自民党議員全員)にはこの法律の持つ意味や本質など、なにもわかっていないのだろう。とすれば、この自民党を党外から操っているものがいるのではないか。このような会社の組織全体を利用するのは、ちょっとした知恵と恫喝で朝飯前だろう。官僚が今回の法律の代理人だと言われるが、その後ろには親会社(米国)がいるのである。親会社は子会社の上場を許さない。今のままの同族経営子会社であれば、うるさい株主(国民)もいない訳で、とにかく操るのに都合の良い会社にしておく方が親会社としても得策というものだ。なんせ、国民自身がこの会社の“従業員”という意識しか持ち合わせていないのだから。しかも、それは“非正規雇用”の身分である。

いみじくも竹中平蔵は「若者には貧しくなる自由がある」と言い放った。皮肉にも親会社の国は、アメリカンドリームという「若者には金持ちになる自由がある」という言葉があるそうだ。何から何まで奴隷根性と属国意識から抜け出すことが出来ないこの国。カネの次に差し出されるのは、「貧しくなる自由」をえらんだ若者の命なのだろうか!