細川護煕氏の反省にとりあえず納得

細川護煕氏がある媒体インタビューで述べています。

彼曰く、 「私を含め、小泉さん、歴代総理にしても、とにかく原発で作る電気は安くて安 全だということを言われ、騙されてきた。それで、58基も建ててしまった。その ような不名誉を、私自身も恥じなければならないと思っている。」

昨年末の東京都知事選における脱原発をめぐる候補者選定の混乱はまだ記憶に新 しいですが、細川氏(や小泉元総理など)は一体「”誰に”騙された!」のだろう か。そこまで言うことができればそれなりに彼の弁明も素直に受け入れる気には なれるのですが。。。

とはいえ、一国の総理経験者が「不名誉を恥じる」と言っ ているのだから、それなりの反省はあるのでしょう。

それはともかくも、やはり 歴史の流れの底流は変化しつつあるように思えます。細川氏も言っていますが、 「東日本大震災での事故は、いわば文明災だ。反省をもっとしなければならない 時に、つい3年前のことも忘れてしまい、方向転換していくことは、日本の将来 の文明を考えた時にあるべき姿ではない」のは当然のことであり、いくら政府・ 東電原子力再稼働を始めようと、福島の事態は解決どころかなし崩しに泥沼状 態になりつつあります。

このような状況を世界は3年前からの経緯を追いながら 注視しており、日本のマスコミや原発推進派が根拠のないプロパガンダをいくら 流そうと自然エネルギー再生可能エネルギーへのシフトは確実に進んでいるよ うです。ヨーロッパにおける固定買取制度において買い取り価格が低下したこと を受けて、「再生可能エネルギーはやはりコストが高くダメだ」のような論を良 く見受けますが、これは逆であり、再生可能エネルギーが普及するにつれ、その インセンティブ(誘導策)を目的とした買取価格が低減していくことは当然のこ とです。村沢義久氏(立命館大学大学院 客員教授)は『発電コスト逆転! 太陽 光発電 vs. 原発』(「環境ビジネス8月4日号」)として試算を行っています が、「原子力による発電コストは、従来言われてきた数字よりはるかに高い。ラ フな試算では、それらのコストを全部含めると、原発による発電コストは軽く30 円を超える。つまり、原発は知れば知るほど高くなるのだ。」と述べています。

いずれにせよ、いくら取り繕っても、原発の根源的課題(被曝)を克服する科学 も技術も現代の人類には無いのは明白であり、あえて経済原理的観点から見て も、原発推進の妥当性は無いと言えます。

もちろん、すぐに再生可能エネルギー にシフトすることは無理でしょう。エネルギー供給のインフラ(分散型)やライ フスタイルそのものの変化も必要でしょう。細川氏の言う「原子力発電のような 大規模集中型の発電システムを作るから、みんなが電気を大量に使用する生活ス タイルになっている。いわば"電気の地産地消"のような取り組みが推進されれ ば、使用する側の意識も変化し、電気をあまり使わなくても良い社会に変わるだ ろう。」という意見には同感です。

「必要が新しい状況を創る」とも言える訳 で、ああだこうだの議論の疲れる循環ではなく、「先ず隗より始めよ」というこ とではないでしょうか。

 

<補足> 全国各地で再生可能エネルギーへの市民の取り組みが行われています。規模の大 小や内容の強弱はいろいろあれど、ゆっくりながらも広がっていっているようで す。私の地元の八王子市でも先日、市民団体が「太陽光発電事業」に大きく一歩 踏み出しました。紆余曲折あると思いますが、是非成功して欲しいと願っていま す。(http://8ene.org/