私達の後に繋がる命の平和を願って

李陽雨(イ・ヤンウ)さんは、昭和23年、山口県豊浦郡(現下関市)生まれの在日2世シンガーソングライターです。現在も、故郷山口を中心に、小さなコンサートを続けながら、「家族の平和」を歌い続けています。

その彼の歌の原点が、亡き父の思い出を歌った「すみやきの歌」です。

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  「すみやきの歌」 作:李陽雨 

 

  俺のおやじは炭焼きおやじ

  俺はその背で夢を見た

  山から山への流れ者

  眠る所も窯のそば

 

  俺のおやじは炭焼きおやじ

  俺はその目に影を見た

  山を切っては道開き

  雨が降っては流された

 

  本も読めねえ炭焼きおやじ

  悲しい手紙に微笑んだ

  俺が学校へ入った時に

  初めて流したおやじの涙

 

  みかんの花の咲く丘で

  眺めていた青い海

  みんな一緒に飯を食う

  それがおやじの夢だった

  

  俺のおやじは炭焼きおやじ

  俺はその背で夢を見た

  山から山への流れ者

  眠る所も窯のそば

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彼の父親は幼い頃日本へ渡り、宇部炭鉱で働き朝鮮戦争の後は豊浦町で炭焼で生計を立てながら暮らしていましたが、39歳で亡くなりました。

在日としての葛藤を抱きながら、「(故郷に)帰りたい」と願う父の炭焼姿を小

学生の李さんは、ずっと心に焼き続けていたそうです。

「炭焼」にはいろいろな人々の人生や想いがあるのですね・・。

李さんのコンサートがもし皆さんの近くであれば、一度歌を聞いてみてください。彼の歌う「さとうきび畑」は、また一味ちがいます。