「炭」という漢字と「灰」という漢字の違い

先日、八王子の小学校の「炭焼体験教室」を行いましたが、窯出し(出炭)で
何とほとんど炭が残っていずに、かろうじて形をとどめた”灰”寸前の”炭”が、ド ラム缶窯の底に横たわっている、という惨状でした!授業の冒頭に、炭の効能や 歴史、用途などを得意満面で講義・指導した身としては、非常に辛く(笑)恥ずか しい結果となりましたが、児童へ「炭」という漢字と「灰」という漢字の違いを 例に出して、「炭から山を取ると灰になるんだよ!」などとしたり顔で話したこ とを思い出すと、ひとりでに赤面する思いです。
 そういうことがあったからという訳ではありませんが、何故「炭(すみ)」は 「炭」と書くのだろうと、ふと考えて調べてみました。漢字・漢和辞典を調べて みると、
『会意文字です(屵+火)。「山」の象形と「削り取られた崖」の象形と「燃えた 炎」の象形から、崖から掘り出した「石炭(すみ)」を意味する「炭」という漢字 が成り立ちました。』
と記述されていました。それで、次に「灰」という漢字の由来について再度調べ ると、
『会意兼形声文字です(ナ(又)+火)。「右手」の象形(「手・右手」の意味)と 「燃え立つ炎」の象形(「火」の意味)から、手で拾う事ができる冷たい火「は い」を意味する「灰」という漢字が成り立ちました。』
と記述されていました。
 なるほど、ととりあえず納得したのですが、私としては、子ども達に説明した 「炭から山を取ると灰になる」という漢字の違いをそのまま、現実の形状(個体 の「炭」と紛体の「灰」)の違いに重ね合わせて説明したかった(したい)の で、なにかこじつけでも良いからすんなりと説明できないものか、と思い、再再 度漢和辞典で「山」の語源を調べようと思いました。すなわち、「炭」- 「山」=「灰」という簡易な数式的理解(合理的理解?)手法を”開発・発見”し たかった訳です。それで「山」の語源を調べるとこれは本当に”山ほど(32種 類)”その意味はありました。ここには全て書けませんが、「高く盛り上がった 状態」という当たり前の意味から「たくさん寄り集まっている事」「物事の頂 点・重要な部分」、そして中には「神が住む神聖な場所」という意味もあるよう です。
 さて、先ほどの数式的合理的理解に近い、「炭と灰」の漢字の違いの説明をど のようにするか、いろいろ考え悩みましたが、以下のような説明を考えました。
「炭はもともと人間の魂が宿る大地の土に根を持つ植物から、宇宙最大のエネル ギーである火を通して出来ます。そして炭を燃やすことにより人間は神が住む大 地のエネルギーを熱として頂き、その熱は人間を温め癒してくれます。大地の魂 (神)が去ったあとの贈り物が灰です。灰はまた土に戻りその土を豊かな土壌に してくれます。そして人間はまた豊かな大地から育った食物から生命の源を得る のです。」
 全然、数式的合理性どころか、情緒・感性のみの説明になりましたが、果たし て小学校の児童たちは何得してくれるでしょうか!だれか漢字の得意な方の助言 やアドバイスがあれば是非お知恵を頂きたいと思うところです。