男性<主流>文化から女性<主流>文化への転換

人類の歴史は、「男」と「女」という根源的2大本質から作られて来た。宗教的に言えば、アダムとイブの原罪から始まった。しかし、我々が確認できる歴史においては、この2大本質は一方的な従属関係、支配被支配関係に固定され、そこから作り出される人間の文化、特に広義的に解釈して、政治・経済・文明・科学・宗教・芸術、、、、など様々な人間が創りあげたシステムは、すべて「男」的な性質を有している。「男的な性質」について、ドイツの社会学ゲオルク・ジンメル(1858-1918)は、男性の性質を「客観的」「即物的」「分化・分業的」「専門的」、女性の性質を「主観的」「人格的」「全体的連帯性」と分析、男性は自己超越性をもち、女性は自己充足性をもっていると見たが、ジンメルの論に従うならば、例えば近代以降の科学の発達のベースには「男的な性質」があり、そこから作り出された社会システム(政治・経済・軍事・医療・芸術・・・・・)はいわば「男性OS(オペレーションソフト)」に基づいて作られているといえる。ここから一気に結論を言うとすれば、現在の社会システムにおける様々な誤謬の要因をこのOSとみるならば、これを「女性OS」に切り替えるという発想が出て来るのは必定である。確かに、近代以降においてはこの性差(ジェンダー)意識の課題は顕在化され、たとえば婦人参政権などに見られる「女性の権利」を社会システムに組み込む動きは活発にはなってきたが、これは女性性質を男性性質へ同化させるという限界或いはあらたな誤謬の要因を生む結果ともなっている。また性差の本質を固定せず、両性融合的な概念を打ち立てようとするジェンダーフリー思想、或いはフェミニズムなども起きているが、歴史の進歩法則としての弁証法を用いるならば、「正(男)・「反(女)」・「合(両性融合)」の流れに従い、近代以降の矛盾への対処として、「反(女)」の時代創出を図るべきと思われる。
ジェンダード・イノベーション」という言葉がある。アメリカのロンダ・シービンガー博士が提唱した概念だが、男女の性差を十分に理解し、それに基づいた研究開発をすることですべての方に適した「真のイノベーション」を創り出そう、というものだ。科学の歴史の中で、従来「性差」はほとんど認識されることなく、科学者たちは無意識のうちに同性である男性のみを基準として様々な研究開発を行ってきた。車のシートベルト設計や鎮痛薬の開発など、性差が顧みられていなかったことによる不具合が実は考えられていたよりもずっと深刻であることがわかり始めたのはつい最近のことだ。こうした性差認識の重要性を、シービンガー博士は科学史の中に隠されていた女性の存在を様々な角度から浮かび上がらせることで明らかにした。その業績はEU(欧州連合)の「女性と科学」政策に大きな影響を及ぼし、のちのジェンダーサミット発足の原動力となった。 (※科学技術振興機構より)