かまとこ地蔵

DAIGOエコロジー村のある八王子・恩方地域にも「平将門落人伝説」がありますが、全国各地に散らばる「平家落人伝説」はその真偽はともかくも、地域の人に歴史における悲哀からくる郷土愛のようなものがあります。この話もその一つですが、ちょっと厳しいというか残酷な感じがある話です。
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時は寿永4年(1185年)、所は、四国高松。源平屋島の合戦から逃げ落ちた平氏の一軍は阿讃山脈(讃岐山脈)から高松の神村(こうのむね)に逃れますが、そこには先回りしていた源氏の武士どもが待ち伏せしています。。。そして、平家の武将の乗っていた馬の首を斬り落しました!乗っていた平氏の武士は落馬、追われて斬られ、馬も首のないまま主の後を追ったが息絶えてしまう。。。
この神村(こうのむね)には、今でも馬の首を埋めた塚があり、切られた平氏の墓を祀ってあるそうです。。。。
しかし、話はこれで終わりません!
まだ生き残っている平氏は源氏の兵に追われながらも、神村(こうのむね)まで逃げてきます。神村は山深い所、安心はできないが山一つ越えれば逃げきることができるのではないかと思ったとき、追っ手はそこまで来ています。
と、そこに火の入ってない炭焼窯がありました。平氏はここぞとばかりに、その炭焼窯に身を隠しました。敵が通り過ぎるのを、身も心も仏に祈るような気持ちで息を殺し待ちます。。。
しかし、戦いは無情!非道!
源氏は窯の中を改めますが、念のため窯の焚口を土で塞いでしまいます。
わずかな一瞬のことでした!
その後この神村(こうのむね)には、いろんな怪異現象や災いが続いておきます。地元の人たちは、「これは平氏の無念が引き起こしたものだ。弔ってあげないといけない」と話し合い、その炭焼窯に地蔵を祀りました。
これが、今でも香川県高松市神村に残っている「かまとこ地蔵」です。
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炭焼窯で焼き殺されないで良かったですね!
平氏落人伝説」と「お地蔵さん」はなんとなく親和性があります。敗者、或いは弱者への同情といたわりの気持ちを感じます。
この話の中の炭焼窯というアイテムはちょっと”悪役”っぽいのですが、窯床(かまどこ)というネーミングでやんわりと包んでくれそうです。
民話や伝説というものは非常にシンプルな話が多いのですが、深読みすればいろいろな情景・想いを抱かせてくれますね。

 

<DAIGOエコロジー村通信3月号>