タバコ

タバコの常習を止めてから20年以上は経つが、それでも時々はタバコを吸う。常習を止めたのは別に「健康を慮った」訳ではなくただ何となくいつのまにかそうなったが、時折無性に吸いたくなる時がある。体が求めるというより、気分が求めるという感じだろうか。そんな気分に久しぶりになったのは、ふと目線に留まったチェ・ゲバラのデザインがそうさせたのかもしれない。買ったのは通の間ではシャグと言われる「手巻きタバコ」だ。通常の紙巻きたばこ(シガレット)と違い、自らタバコの葉を紙に巻いて使用するので、いかにも“ツウ”ぽくてカッコよく思える。しかも結構経済的である。

ところで、「タバコの害」が社会的に広まったのは一体いつの頃だろう。ある研究によれば禁煙の歴史は意外と古く、江戸時代に「タバコによる治安の悪化」を要因とする禁煙政策があったようだが、直近では1990年代に「成人病」が「生活習慣病」という名称に変わったあたりから、私からすれば“異常な”と感じるほどの「健康志向」をベースにした社会の排除策の一環として「禁煙政策」が導入されたと言える。そしていつの間にか根拠も示されないまま「喫煙=肺がん」の因果妄想が世を席巻、今では町の中飲食店はどこに行っても禁煙だらけだ。喫煙者はあたかも犯罪者のようにみられるようになった。街角の喫煙エリアに集う人々を見る非喫煙者の視線も結構厳しいように感じる。その喫煙者もいささか身を小さくしているようだ。「タバコを吸うと肺がんになる」はもちろんのこと「副流煙の影響が大きい」というのも全く根拠がない。(※1982年に「平山論文」というものが発表されているが真偽不明)いろいろな喫煙影響の科学的と言われるデータを見ると素人には分かりにくい学術的言葉で満載されているが、もしそうであれば車から出る排気ガスも同様に調べて欲しいものだ。もし副流煙が原因であれば、例えば、長年喫煙している夫と同居している非喫煙の妻のデータを示せ、と言いたい。

さて、ホントは「文化嗜好」としてのタバコの良さを言いたかったのだが、ちょっと怒りにまかせて横道にそれてしまった。喫煙の健康論争は別に譲るとして、やはりタバコはカッコよく吸うとイイものだと思う。白状すれば、17歳(高2)で初喫煙したが、やはり少年なりに「カッコ良い」と思ったのだろう。思い出せば、スクリーンでもやはり「タバコの似合う」スターは何とも言えない。古くは、ジェームズ・ディーンハンフリー・ボガードスティーブ・マックイーンあたりか。ポール・ニューマンクリント・イーストウッドも何とも言えない。もちろん日本でもカッコよくタバコを吸う俳優はいる。撮影の合間にタバコを吸う三船敏郎。椅子に向い合せに座りながら吸う菅原文太もほれぼれする。面白い所では、テレビで正義の味方であったウルトラ警備隊隊長も実は喫煙していた(笑)もちろんカッコよくタバコを吸うのは男だけではない。あのヘップバーンもいい感じでタバコを吸っているし、なにかと話題のアンジ―ことアンジェリナ・ジョリーもスモーカーだ。アンジ―はガンを恐れて乳房を切ったというが、肺がんを恐れて肺を取った、という話は聞かない。日本の女優では、旧アイドルの先駆け小泉今日子が堂々と吸っている。最近は、海外は良くわからないが、日本ではタレントたちは「喫煙」がばれることを非常に恐れているらしいが、もともといろんな意味でカッコよさを売り物にするのがタレントであれば、堂々と当然カッコよく吸ってもらいたいものだ。番外編でもないが、ミュージシャンではR・ストーンズキース・リチャーズツェッペリンジミー・ペイジが喫煙派の代表だ。なんせステージ上で吸いながらの演奏はやはりハードロックなのである。

いずれにせよ、今の社会の閉塞感の要因の一つでもある「健康志向」をブッ飛ばす最も有効な手立ての一つに「“カッコよく”タバコを吸う」ことを挙げたい。なぜ、“カッコ良く”なのかは、タバコを吸う行為は、「文化嗜好」であれば最低限のマナーは必要だろうし、マナーの悪い喫煙程またダラシナク見えるものはない。やはり「カッコ良く」振る舞うのはそれなりにTPOをわきまえるものだ。

喫煙している方々には以上のようなエールを送りたい。

喫煙者諸君、今日からでも「カッコよくタバコを吸う」ことを心がけようではないか!!

 

 

<補論>最近、広告で『タバコは農業だ』というコピーを目にした。広告対象のタバコの中味はともかくも、なかなか良いコピーだと思った。その動機に時代に媚びるものではなく、時代を突破するものがあれば、の話ではあるが・・・。