数値化の問題点

気象庁が東京都心の観測ポイントを30年ぶりに変更しましたが、そのことにより都心の年間平均気温が一℃以上下がり、また冬日相当増えるとの報道がありました。となると、近年気温の上昇による異常気象はすべて「地球温暖化」という説明がなされて来ましたが、次は「地球冷却化」というのだろうか、とふと疑問になりました。

私たちの日常生活においていろいろな「数字」が使われている(数値化)ことは確かに「わかりやすい」という面はありますが、その数字で説明されることは果たして「真実」なのでしょうか。

もう一つの数値化の例に血圧があります。今年の4月に人間ドック学会は高血圧の基準数値(「上147/下94未満」)を下げましたが、それまでの血圧基準(「上140/下90未満」)はWHO(世界保健機構)に沿ったものでした。しか、WHO基準以前は「上160/下95以上」であり、実はこのような基準の上げ下げで「高血圧患者」が増加し結果として製薬会社が大儲けしたと言います。

このように、一見分かりやすい「数字」というものは実は「作られる」ものであり、本当に実態を反映しているのか、という疑問を呈すればかなり”怪しい”数値は多くあるものと思われます。少し学術的になりますが世の中のいろいろな状況を分析する場合、「定量」と「定性」という二つの見方があります。「定量」とは文字通り「数値化」できる性質のもので、たとえばニュース報道における「為替」「株価」や決算書などの「財務諸表」などは「定量」的なものでしょう。逆に「定性」とは例えば「人の感情」「県民性」などと言った「数値化」できない性質のものを指します。とはいえ、実はこの「定性」的なものもあるマジックを使えば「数値化」として表すことが出来ます。定性的なものを数値化する場合、もっとも使用される手段が「指標」という物差しを使う統計学的手法です。簡単単純に言えば、ある統計値(アンケート調査など)で最も多く表れたもの(現象)を基準とする方法です。良くある「幸福度ランキング」などは定性的なものを定量化しているものと言えます。

このように実は私たちの生活の周りにあふれる「数字(数値化)」には二面性があるということに気を付ける必要があるでしょう。

科学の証明に「数値(定量)」が求められるのは必須ですが、それは「数値化できれば正しい」という逆の観念も生むことになります。実態と数値によって説明される結果がどうも腑に落ちない場合に感覚的に「なんかおかしい」という気がすることはありませんか。日々、数字で説明されるモノゴトについて、一度疑問を持ってみてはいかがですか!もちろん、政府発表の各種数値もその範囲にあります。