富裕層増税と ”ノブレス・オブリージュ”

「ユーロ危機」「ドル危機」が叫ばれ、欧米世界は歴史的経済危機の中にあるという報道が毎日のようになされています。

この状況に対して、欧米のほとんどの政府は、「財政赤字」脱出の方法としての「増税策」を打ち出していますが、そのほとんどは「間接税(消費税)増税」「富裕層優遇税(所得税減税)」の合唱となっています。

そのような中で、欧米の富裕層から「我々に増税せよ!」という耳を疑うような声が上がっています。

まずは、米国の投資会社「バークシャー・ハサウェイ」会長兼CEOのウォーレン・バフェット氏(2011年世界長者番付3位)のNYタイムズへの投稿(8月)では、

「政治家たちは『痛みを分かち合うこと』を求めてきた。だが、そのなかに私は含まれていなかった。大富豪の友人らにも彼らがどの程度の痛みを覚悟しているのか確認してみたが、彼らも対象外だということが分かった。(中略)貧困層や中流層の人たちが米国のためにアフガニスタンで戦い、大方の米国人がやりくりに苦労しているというのに、われわれ富裕層は、相変わらず多大な優遇税制の恩恵にあずかっている」と述べ、年収100万ドル(約7700万円)以上の米国民への増税と、年収1000万ドル(約7億7000万円)以上の米国民への一層の増税を提案しました。

http://www.1valuestock.net/news/2011/08/post-1.html

 

 一方、ヨーロッパでは、イタリアのフェラーリ会長のルカ・ディ・モンテゼモロ氏もイタリア紙レププリカの中で、

中産階級への(増税)要求はけしからぬ。まず金持ちに求めよ」と発言。

また、フランス最大手化粧品リリアン・ベタンクール氏、エールフランスKLM会長のジャン・シリル・スピネッタ氏など大企業16人が仏誌「ヌーベル・オブセールバトゥール」に連名で、

「我々は愛着あるフランスとヨーロッパから日常的に利益を得てきたことを自覚し、それを維持したい」

「国の借金増加がフランスと欧州の未来を脅かし、政府が連帯税を国民に求める時は、我々富裕層の貢献が必要であろう」

と述べています。

http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20110918-OYT1T00420.htm

 

 欧米には「ノブレス・オブリージュ」(仏語)という精神があります。

直訳すれば

「貴族には義務あり」

すなわち「高い地位にある者は、その分、大きな義務を負う」という意味です。

別の見方をすれば社会における指導者・リーダーの精神と言っても良いでしょう。

これに比して、わが日本の財界・富裕層・指導者の姿はどのようなものでしょうか。

言わずもがな・・・・でしょうか。

 

この世界的な金融危機を救うのは、小手先の金融技術ではなく、やはり人間としての「品格と精神」でしょう。