14年前の榊原英資の発言「世界経済破綻」

『クレバーな人たちは、おそらくそういう世界経済の破綻がくるだろうなと思ってますよ。ただこの金融市場というシニカルゲームというのは、どんどん大きくなっていっています。だからそう遠くない時期にシステムとして破綻するというのはすでに見えてるわけです。私は、それは五十年とか百年のオーダーじゃなくて、五年とか十年のオーダーでくると思います。だから人為的に無理に止めなくてもいい。/いまIMFとかわれわれは、システムを何らかのかたちで維持するということをかなりシニカルになりながらやってるわけです。いろんなシステムを使って、延命させてるわけです。しかしそれを批判してるグループ、たとえばハーバードのジェフリー・サックス教授などは、むしろ国をデフォルトさせろと主張していて、いまはそういう意見がかなり強くなってきてますね。/しかし国をデフォルトさせると、その国は国際金融システムの外に追い出されます。そういう国が次々と出てくれば、いまのゲームは継続できなくなり、このシステムは終わる。また国が破綻すれば、そこにおカネを貸してる金融機関がおかしくなる。国際的に金融機関がおかしくなるというプロセスがあちこちで起きてくれば、国際投資はだんだんなくなってくるわけです』(1998年『諸君』10月号にて)

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榊原英資氏は有能な金融財政マンですが、上記の発言にある”シニカル”という表現は、国際金融システムを動かす側のど真ん中にいる(いた)人物の発言としては非常に意味があります。すなわち、彼らはすべて”わかっている”ということであり、「分かっているのにやらなければならない」から「シニカル」にならざるを得ない、ということでしょう。シニカルとは、言葉を変えれば「ニヒリスティック」ということでもあります。

榊原氏は彼の意見や考えは別として、私としては結構好感がもてる人物ですが、その一つの要因は、上記のような発言青する彼の”正直さ”かもしれません。