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ホルムズ海峡封鎖からみる日本のあるべき姿

イラン情勢が風雲急を告げ、ホルムズ海峡封鎖は時間の問題と言う報道がされて います。

マスコミに限らず、国民含め、いつものように”対岸の火事”くらいの認識しか無 いようですが、ホルムズ海峡を通過して運ばれる原油の輸入先は、日本、韓国、 中国のみならず、インド含め東アジア全体が大きく影響を受けます。

今回の”石油危機”は日本にとって、いろいろな指標を基に眺めると、単なる一過 性ではなく構造的な問題を露呈させています。

IEA(国際エネルギー機関)は原油価格(名目ベース)が2035年までに1バレ ル=247ドルに達するとの見通しを示しています。(1.24ブルームバーグより)

投機側面もあるとはいえ、いずれにせよ石油価格は益々高騰する時代になってい るのは明白です。ちなみに日本の原油支払額(化石燃料輸入代金)は、1998年で 5兆円でしたが、2008年には23兆円でした。IAEの見通しどおり仮に原油価格が2 倍になれば、化石燃料輸入代金も40兆、50兆の支払いとなります。

ちなみに、こ の支払は外貨建て支払い(ドル、ユーロ等)が原則ですので、「円を刷って払え ば良い」というものではありません。

今朝のニューズで日本の貿易収支が31年ぶりに赤字転落を伝えていましたが、 「資源を輸入し製品を加工輸出して利ザヤで食う」という貿易立国をテーゼとす る日本の経済モデルですが、いくら貿易で儲けてもそれを原油の代金に支払って もまだ足りない、という話は小学生でもわかる話です。

さて、日本人のライフスタイルを支えているのは文字通り”石油”です。石油価格 の上昇は、物価への転嫁となってありとあらゆる生活の末端まで影響を及ぼすこ と必然です。 こういうと、「これまでも石油危機はあった!しかし、日本の(省エネ・高効率 化)技術と経済力で乗り切ってきたではないか!今回も大丈夫!」という意見も 聞こえてきそうですが、”ノー天気”と言わざるを得ません。

生活ベースが”石油本位”になっている以上、それらは結局は対症療法の自己満足 でしかなく、本質的な解決にはなりません。 ちなみに原子力推進派もこの状況を楯にこれまでプロパガンダを行ってきました が、3.11FUKUSHIMAによりその存在意義を喪失しています。

このように今世界は、今、金融システムの崩壊と原油資源争奪という大きな波に 飲まれようとしています。

各国が己の国の存在を掛けて動いているのが今の世界情勢です。

このような状況の中で日本の進むべき道を模索すると、やはり根本として「脱石 油(化石資源)」即ち「低炭素社会の構築」しか道はないと言えましょう。

低炭素社会」の言葉について、国立環境研究所 特別客員研究員の西岡秀三氏 はその著書で、次のように述べています。

『・・・「低炭素社会」は日本が世界に発信した概念で、広く社会や個人の行動 や考えの変革までを含めている。日本とイギリスの共同研究で提案されていた 「低炭素経済」という表現では、この変革の意味を十分に表わせないのではない かということで、「低炭素社会」と言ったのである。  「低炭素」という言い方は物理的に響く。また「持続可能社会」や「グリーン 成長」とどう違うのだという批判もある。<中略> この言葉は幸いにして多くの人たちの引用で世界に浸透し、いまや世界中で使わ れるまでにいたっている。・・・・』(「低炭素社会のデザイン――ゼロ排出は可 能か (岩波新書)」より)

西岡氏の言うように、「低炭素社会」とは物理的な意味だけでなく「社会・個人 の在り方の変革」という側面こそが本質と言っても良いと思います。

現在の「国際金融システム」と「資源・食糧・エネルギー」の政治的・経済的な 関係を再度見直し、日本(人)が日本(人)としてこれからも存続していくため にも新しい社会システムの構築が必要です。

 

<追記> このような状況のなかでも、「消費税増税」「TPP」などを推進しようとする民 主党野田政権は”亡国””売国”というそしりをうけても仕方がないでしょう。しか し、我々もテレビの前でただ評論家になるのではなく、自ら行動することこそが 求められます。「低炭素社会」構築のための実用的取組のターゲットは、人間の 三大生命維持要素である「食糧・水・エネルギー」ということになります。これ を如何に自前で供給するかを、科学技術システム、社会システムだけでなく「人 間存在の哲学」という内面的なことも含め、日本人として全知全霊を傾けなけれ ばなりません!逆に言えば、そこにこそ、新しいビジネスチャンスが転がってい ると言えます!