本当の選挙の争点は?

昨日14日、民主党野田首相のやぶれかぶれとでもいうべき「解散・総選挙」宣言がありました。もっとも、安倍自民党との談合と言う話もあり、政界はいつもの闇夜のカラスたちの烏合状態に変わりはありませんが、、、。

さて、今回の総選挙はこの日本の戦後体制(安倍晋三の好きなコトバで言えば戦後レジームか)の根本が問われることになりそうです。表に出る3大争点の「原発」「TPP」「消費税増税」の根本にあるものと言っていいでしょう。

結論から言えば、米国の「奴隷(従属)」を選ぶのか、或いは「自主独立国家」を目指すのか、ということです。右(翼)左(翼)論は現状においては表層的な分類ですので、昔ながらの党派の視点だけで見るとこれからの我が国の進むべき道を見誤ることになります。

戦後の吉田ドクトリン(「軍事戦略は米国に依存し経済主体の国を目指す」)は是々非々はあるとしても戦後焼野原からのいち早い国の立ち直りをそれなりに実現したことは間違いありません。当時の政治家や官僚には米国からの統治を、ある意味「換骨奪胎」の主体的な思考で対応する構えはあったと思いますが、しかし皮肉にも高度成長による経済的(金銭的)豊かさがそのような主体的な気概を消し去ってしまい、カネ儲けにふける「ゆでがえる」状態を40年近くもやってしまった、というのが我が国の現状でしょう。

米国が世界帝国としてその覇権主義がそれなりに力のある時は、「従属政策」もある面では一理あったのかもしれませんが、その米国自身が今政治的にも経済的にも米国歴史上もっとも危険な状況にあります。先刻の米大統領選挙は、米国内における権力機構が揺らぎ始めていることを改めて示したとも言えます。言葉を変えれば「米国も必死である」ということです。米国の対日政策はこれまでのような「農耕(家畜飼育)型(太らせて食う)」から「狩猟型(家畜そのものを食う)」に変わったと言えます。とくにオバマ政権はこれまでのようなめんどくさい「年次改革要望書」的な政策ではなく一気に日本を食らう方策を取るでしょう。「TPP」はその最たるものです。TPPの対象項目は23分野ありますが、これらを今のTPPの枠組みに組み込まれたら。我が国の立脚点(国土、国民)をすべて失うことになるでしょう。今世界経済は目に見えませんが、経済恐慌の先延ばし策だらけです。各国が生き残りを掛ける国家間の暗闘と言っても過言ではありません。

今回の選挙は、相変わらず主体性を持つことなくご主人様(米国)にこび、へつらい、すり寄る道を選ぶのか、たとえ苦しい障害があろうとも「自らを支配するのは己自身だけ」という気概を持つ主権国家を目指すのか、目の前の利益・利害ではなく、我々の精神性そのものが問われる選挙と言えます。そのような問いかけを候補者や政党に問う姿勢が我々有権者には求められます。