協同組合のすすめ
日本の資本主義を支えるプレイヤーと言えば、大きくは「行政」と「企業」の二 つしか考えられません。その昔、「日本株式会社」という呼称もありました。具 体的には、「霞が関」と「経団連」ということになるのでしょうか。確かにNPO やNGOなど或いは公益法人という組織もありますが、構造的には殆どが「企業組 織」或いは「行政組織」に組み込まれ、その範疇での活動を余儀なくされていま す。
一方、欧米における「協同組合」の歴史は、非常に古く、その発祥は資本主 義発祥地の地であるイギリスのロッチデール先駆者協同組合であり、1844年 に結成され、その後ヨーロッパ各国に消費協同組合が生まれました。 協同組合の思想の基本は、「ロッジデール原則」というものです。
①公開の原則
②民主的運営の原則(一人一票制)
③利用高比例割戻の原則
④出資金利子制限の原則
⑤政治的・宗教的中立の原則
⑥現金取引の原則
⑦教育活動促進の原則
これらは、すべて市場に任す市場原理主義や金がカネを生む金融資本主義とは違 い、「協同」を実現させ持続可能な社会を作る原則とも言えます。
近年、行政が「共同」「共生」を言い、企業が「社会的責任」を謳う時代です が、果たして本気にやる気があるのかどうかは疑問符が付きます。 その点、「協同組合方式」は古くて新しい発想の組織形態と言えます。これまで はどちらかと言えば、「消費」に力点が置かれていた「協同組合」ですが、これ を「生産」にも力点を置いた「生産協同組合」を作り上げ、消費と生産を「協同 組合」方式で結節するという考え方もあるのではないかと思います。
※協同組合の定義 ICA(国際協同組合同盟)声明では、協同組合の定義に関して、「協同組合は、 共同で所有し民主的に管理する事業体を通じ、共通の経済的・社会的・文化的 ニーズと願いを果たすための自発的に手を結んだ人々の自治的な組織である」と しています。