社会が経済を変える

P.ドラッカー『ネクストソサイエティ』2002年】
第4章 資本主義を越えて
<抜粋>P203~204
・資本主義のまちがい
私が支持しているのは資本主義ではなく自由市場経済である。・・・資本主義に対しては重大な疑念を抱いている。経済を最重視し偶像化している。あまりに一元的である。・・・・・所得格差を20倍以上にするなと何度も言ってきた。これを越えると憤りとしらけが蔓延する。・・・・あまりの不平等が絶望を招き、ファシズム全体主義に力を与えることを心配していた。残念なことに、心配は当たった。・・・・・
人間として生きるということの意味は、資本主義の金銭的な計算では表せない。金銭など言う近視眼的な考えが、生活と人生の全局面を支配することがあってはならない。
<抜粋終わり>
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”左翼”としての立ち位置の私とは方法論がちがうドラッカーではありますが、人間に対する見方の基本的なところでは同じと思います。
残念なことにドラッカーの予測は当たってしまっている現状です。
そして、本書のあとがきの最後で彼はこうも述べています。
『・・・・しかしいまや、経済が社会を規定するとの思想どころか、経済が経済を規定するとの理論からさえ脱却しなければならない。間もなくやってくるネクスト・ソサエティ(異質の次の社会)においては、経済が社会を変えるのではなく、社会が経済を変えるからである。・・・・・』

金融緩和やTPPが果たしてこの社会を変えるのでしょうか!
私たちが自らの想像と力で私たちの新しい社会の在り方を作り出すことこそが、この格差社会を是とする経済の仕組みを変えることになる、ということでしょう!