科学と科学主義の違い

故郷鹿児島の高校の先輩でもある哲学者の山崎行太郎氏が「小保方問題」につい てユニークな、しかしある意味本質的な議論を継続している。

氏曰く「小保方事 件、STAP細胞事件は科学研究レベルの事件にとどまらず。現代日本の思想的劣化 という思想問題である」ということだ。

小保方問題についての「論文の書き方」 「パクリ・コピペ」など(を問題にすること)は低次元であるとし、そのような 批判を連ねる専門家或いは学者科学は「科学と科学主義の差異がわかっていな い」として、それは言い換えれば「存在論的思考とイデオロギー的思考の差異」 であり、そこに「諸悪の根源」があると言っている。

哲学者の論理展開なのでど うしても言語表現が抽象的だが、なんとなくわかる気がする。

科学の世界であ れ、我々日常の生活であれ、それは「リアリティ(現実)」の世界であり、そこ は矛盾と非合理に満ち満ちているのは当たり前だ。矛盾や混沌或いは非合理な現 実だからこそ「人間は間違う」。

山崎氏は言う。

「・・”科学も学問も、間違うのだ。間違うから科学なのだ。間違いの積み重ね の中から発見や開発は生まれるのだ。間違いを恐れる人間には科学も学問も芸術 も無理だ。科学主義的思考においては間違わない。何もしていないからだ。科学 主義的思考は、科学の廃墟である。”・・」

さて、小保方問題はまだ”解決”していないが、論文の書き方や科学的倫理道徳と いう視点からばかり見ていると山崎氏の言う”科学主義”に陥る可能性は否定でき ないだろう。

 

山崎行太郎氏は私より4期上の鹿児島県立甲南高校の先輩です。歯に衣着せぬ論 壇時評はとにかく快刀乱麻です。

★哲学者=山崎行太郎のブログ『毒蛇山荘日記』

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