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オオカミ伝説と御岳山

先月噴火した御嶽山(おんたけやま)とよく似た名称の山が奥多摩にある御岳山 (みたけさん)です。ちなみにこの山の麓にあたる多摩川河川にはエコロジー村 で製作した炭窯(ドラム缶)もあります。それはさておき、今年の8月に御岳山 への観光客が減少していることから、地元の商店街が中心となり、あの手この手 の集客作戦を展開しています。

その一つがミシュラン掲載の高尾山の外人観光客 でにぎわっていることからヒントを得たのか、御岳山でも外人観光客に来てもらおうと、八王子か ら芸者を呼んで盛んにアピールを行いました。東京オリンピックにも関連して外 人観光客で起爆剤にしようという魂胆だと思いますが、ちょっと残念な気もしま す。

と言うのは、御岳山は高尾山とはまた趣が違い、その標高差(高尾山 599m、御岳山929m)からも山岳信仰霊場としては高尾山よりも500年も古い 歴史があります。また、今月号の「三太郎の一言」でも言及していましたが、御 岳山にもいわゆるオオカミ伝説があります。

伝説では、その昔、日本武尊(やま とたけるのみこと)が東国平定の際に御嶽山にさしかかった時、白いシカに化け た犬の魔物に行く手を阻まれましたが、そこへどこからともなく 1 匹の白いオ オカミが現れ、前に伏して「私について来てください」と言い、一行は、白いオ オカミの案内で無事に難を逃れ、その後末永く人間の守り神となったという話で す。御嶽山のオオカミ伝説に現れた白いオオカミこそが御嶽神社のお札のお狗 (いぬ)さまで、現在のお札の絵のモチーフとなっています。

ところで、こオオ カミは絶滅したとされるニホンオオカミのことと思われます。今でこそ、グリム 童話「赤ずきんちゃん」ではありませんが、オオカミは「怖い」というイメージ が定着していますが、昔は人間と一緒に狩猟を行っていた、という説がありま す。そのオオカミが人間の”敵”とされたのは、いわゆる農耕式の定住型社会が形 成されてからであり、それ以前の狩猟社会では、まさにオオカミは人間にとって 「大神」でありその存在は敬われこそすれ、敵対するものではありませんでし た。

檜原村青梅市など奥多摩にも、その昔山人(やまびと)が存在し、いつし か定住した農耕民との争いに敗れ、また彼らとともにあったオオカミもその存在 を失ってしまったのでしょうか。しかし、人とオオカミの接点はもっと深いもの があり、定住農耕民がいつしかオオカミを”恐れる”のではなく”畏れる「大神」”とし て信仰するようになったのでしょう。

このような現代人が忘却した「自然ととも に生きる」という願いのようなものを御岳山は持っているのではないか、と思う と高尾山と同じように単純に入込数を増やすという発想ではない、もっと凛とし た御岳山の在り方があるようにも思われます。

まだ御岳山に登っていない方がいらっしゃったら一度登ってみてはいかがですか!

 

<参考>

★広報日の出484号

★「檜原村の狼信仰」西村敏也

 

<DAIGOエコロジー村通信11月号より>