炭焼不動明王(すみやきふどうみょうおう)

今年の入梅は少し遅れているようですね。

皆様の地域では如何でしょうか。

さて、DAIGOエコロジー村のある八王子恩方の西側山稜は、高尾山から陣馬山までのハイキングコース(関東ふれあいの道)にもなっています。

そこに、「明王(みょうおう)峠」という峠がありますが、甲斐武田家の武運を祈願した不動明王があることから付いた名前です。

ところで、炭焼にも明王様が付いた「お不動様」があるのをご存知でしょうか。

その名も「炭焼不動明王(すみやきふどうみょうおう)」と言います。場所は、西国大阪は河内長野市にある「光滝寺(こうたきじ)」です。

そこには、

「寺伝によると天慶6年3月(1044年前)一夜不動明王が賣炭翁に化現(けげん)して當寺の住持常操(じょうそう)大僧都(そうず)に白炭(しろずみ)の製法を授けた。常操はこれを村人に伝えたので全村こぞって白炭を製するようになり、その後工夫をこらし、ツツジの梢を曲げて花鳥の姿を造り姿そのまゝに焼いたので花炭或は光滝炭とも称(とな)えられた。」

という言い伝えが記してあります。

  • 事実、この地は白炭の生産が盛んで、茶道の広がりにともない、戦国から江戸末期にかけて賑わう堺や京都へ運ばれた白炭は、「光滝白炭」或いは「滝畑炭(たきはたずみ)」と呼ばれ、重宝されていました。

茶の湯の炭といえば、やはり大阪の「池田炭」が有名です。

しかし、この池田炭と共に、千利休が重用した炭がこの光滝炭です。

白炭ですが、茶炭の一番上に乗せ、白い炭が赤く燃える、何とも言えない幽玄な趣があるそうです。

目に浮かぶようですね。

今では、白炭といえば、「紀州備長炭」の代名詞ですが、光滝炭のような白炭もあるんですね。DAIGOエコロジー村のある恩方も、「案下炭(あんげずみ)」という白炭の産地でした・・・・・。

ちなみに、世界で白炭をやいているのは、日本を中心に中国文明の伝統を受け継いでいる一部の国に限られています。(2009.6)