日本青年館での一日

先日、知人が演出を担当する市民劇団ミュージカル公演の裏方を手伝いました。このような演劇の裏方という作業は、これまでも経験がなく貴重な体験でした。この演劇を公演した会場が、「日本青年館ホール」です。建物は、2020オリンピック開催に合わせて、201…

英語と日本語と語学教育論

先日の内閣改造で環境大臣に就任したばかりの小泉進次郎氏の英語発言が議論を巻き起こしています。彼は、「環境問題はセクシーであるべきだ!」と発言、それに対する賛否両論があるようです。否定派は、彼の大臣資質を疑い、肯定派は、「上手い表現だ」(在…

スマートシティと人権と政治

参議院選挙が終わりました。いつもの国政選挙より、候補者の街宣車からの音声が非常に少ないと感じました。巷で言われる「マスコミの(選挙報道)無視」の影響もあるのかもしれませんが、もっと大きな要因は、「ネット選挙」がいよいよ顕在化してきたのでは…

「都市は自然である」

日野啓三という作家が「都市は自然である」と述べています。彼の言い分はこうです。「都市を非人間的だという人がいる。自然にかえれ、と叫ぶ人もいる。だが田園牧歌的自然は、私にはどうもなまなまし過ぎる、というか、閉じこめられた馴れ合いの息苦しさを…

脱原発と脱温暖化と太陽光発電

FIT制度が今年度(2019年)で10年を迎え終了するという。そもそも「10年間」という制約があったため突然の出来事ではない。太陽光発電を含む再生可能エネルギーへの関心が高まったのは、もちろん2011年の東日本震災による福島原発の崩壊がその大きな要因であ…

老子的生き方と炭焼

『天長地久。天地所以能長且久者、以其不自生、故能長生。是以聖人、後其身而身先、外其身而身存。非以其無私邪、故能成其私。 (天は長く地は久し、天地の能く長く且つ久しき所以のものは、その自ら生ぜざるをもってなり。故に能く長生す。ここをもって聖人…

長谷川康子の自由

今から45年前、2年半ほど半同棲生活をしていた医大生の女子と別れた。巷では 上村一夫の「同棲時代」という劇画が評判で、「神田川」という叙情フォークが流行った頃。戦後民主主義的同棲は、相互に平等に認め合うというなまっちょろい緩やかさを持っていた…

貧者と富者の戦い

資本主義が産業制から金融制に移行した時、利潤を産む原資も労働剰余価値から金融利子価値に変わった。それを可能にしたのは「生かさず殺さず」という収奪論理が「殺しても構わない」に変わったからだ。従って国家の再分配機能も「富者→貧者」から「富者←貧…

【人生の色つれづれなるままに~】

亡くなった歌手の島倉千代子さんの唄に「人生いろいろ」という歌謡曲がありました。島倉さんにしては、結構コミカルな歌だと思ったのですが、カラオケ名好きな方には結構歌われる唄のようです。そういえば、小泉純一郎氏が総理の頃の野党の質問に対して「人…

病は気から~人も国も~

先日、右目が急に薄い膜に覆われたかと思うと、視界に糸のような雲のようなものが現れる、いわゆる飛蚊症が起こり、また視界というか目玉の中から稲妻が走る症状が現れました。これまで経験したことのないことだったので、正直気が動転してしまいました。私…

「都会と田舎」考

先日、東京都港区の南青山で児童相談所設立に関して地元住民が「迷惑施設」として反対するという“事件”がありました。反対の理由が「貧乏人が住むところではない」と言ったことから、反対者に対する反論が大きくなり、“事件”そのものはなんとなく収束したよ…

地球温暖化と国際政治

科学史家で思想家でもある米本昌平氏(東京大学教養教育高度化機構客員教授)の論考は興味深い。彼の2017年3月の『トランプ時代における地球温暖化問題の行方』によれば、地球温暖化が突然のように国際的な重要課題となったのは、「それは一にも二にも、89年…

皮膚感覚的他者感覚

以前も「エコロジー村の人たちはなぜ仲が良いの?」「エコロジー村はなぜこんなに長く活動できるの?」という質問が多いということを書きました。その時は「炭を焼くという共通の行為が共同の価値を醸成した」というような主旨を展開しました。(2018年3月号…

『落陽』考

学生のころは拓郎の曲なんて「ヤワ!日和見!」などとしか思ってなかったのだが、最近、ちょっとギターを弾きだしたこともあって、拓郎の曲をなんとなく歌っていると、「おっ、」と思わさせるところがある。あのわずか20代前半あたりで、こんな詩を歌ってい…

コミュニケーションロボット

先日、ある温泉に行った時のこと。休憩室である会話が聞こえてきました。一方は確かに人間の声なのですが、もう片方はどうも子供の声ではあるがなにか機械音です。そっとそちらの方向を見ると、高齢のご夫婦と思しきお二人のうち、女性の方が何やら片手に人…

異常気象の量子力学的解釈

今年の夏は世界的にというか主に北半球で猛暑、豪雨の異常気象に見舞われ、ついでに言えばわが国では高震度の地震が連続して起きました。地震はともかくも、異常気象については、気象学という学問領域において、異常気象と人為との関係を分析する「イヴェン…

情報機器と情報危機

7月末に、使用しているパソコンがマルウエアというウイルスに感染、対策をいろいろ講じましたが、結局再インストールしかない、という状況に陥った直後、今度は携帯を紛失するという事態が発生しました。さすがに事態発生直後は少々あわてましたが、「これは…

因果関係と内省

科学が発達し、また人間自身が自らをある程度客観視することが出来るようになった今日、世の中で起き得る事象について、必ずその因果関係を突きとめようとする人間の情熱は、これまで知らなかった世界への扉を開けているように思えます。しかし、そのことが…

ヤポネシア論

「ヤポネシア」とは作家の島尾敏雄が作った造語です。島尾は終戦直後に特攻人間魚雷回天の乗組員として奄美大島の加計呂麻島にあった回天の基地で死を前に終戦を迎えました。戦後、彼は島娘のミホ氏と結婚、実家のある神戸へ移り住むもミホ氏の心の病を癒す…

孤立無援の炭焼

「炭焼き」は実は非常にハードな作業である、ということはもう言わずもがな、かもしれません。第一次産業の別名呼称を「農林水産業」と言いますが、農業、林業、水産業の中で、農業は「栽培型」、水産業は「狩猟型」という概念で捉えることが出来ますが、林…

学長

大学3年次(21歳)に「学費値上げ問題」に端を発した学園紛争において、学校をロックアウトして学長室で学長とタイマンで話し合った。別の表現をすれば「学長を軟禁」という行為だったのだが、学長は当時70過ぎと思われたが、実にシャンとして威厳を保ってい…

二つの出来事

日大アメフト問題とモリカケ問題に共通するのは、「リーダーの嘘」と「周辺の忖度」ですが、日大に関して言えば、明らかな証拠(タックル映像)があり、監督及び学校当局の限りない虚偽に近い説明には、関係者のみならず一般人においても批判の対象となって…

『女の平和』

財務省官僚のセクハラ発言、それに輪をかけたような財務相の認識、地方議会においても最近では狛江市長や群馬県みなかみ町長などのセクハラ問題も耳新しいですね。一方海外では、ハリウッド女優の告白に端を発したセクハラは、ノーベル文学賞も延期となった…

西郷隆盛・ルソー・マルクス

今年は、「明治維新150年」「マルクス生誕200年」と日本と世界の歴史に関わるメルクマールの年でもあります。維新における西郷隆盛(1828~1877)と近代ヨーロッパ変革期のK.マルクス(1818~1883)は一見関わりが見られないように思えますが、その生きた時…

非風非幡非心(ひふうひばんひしん)

国会の証人喚問をご覧になり、追求する側(野党)と証人のかみ合わない議論答弁に、野党側に立つ立場、或いは証人擁護の立場に関係なく、頭だけでなく心も疲れたような気になる方は結構多いことでしょう。目に見える事件の物的証拠ではなく、「人の心」とい…

マックス・ヴェーバーと安倍晋三

今から4年前の2014年1月29日、衆議院本会議代表質問において、安倍晋三氏は「・・・・政治家として行動によりもたらされる結果に責任を持つべきは当然であります。信念だけに任せて、結果を考えることなく、決断を行うようなことがあってはなりません。一方…

せごどん(大河ドラマ『西郷どん』)

私的なことで恐縮です。過日、家人とともに二人の故郷でもある鹿児島へ墓参帰郷してきました。一緒に帰省するのは15年振りとなります。3泊4日のちょっとした小旅行でしたが、墓参という義理的旅行とはいえ、やはり心は躍るものです。鹿児島空港に到着するや…

「超近代的個人主義」の胚胎と台頭

世界の不安定を政治或いは経済的視点から見る論考は嫌と言うほどあふれかえっていますが、少し角度を変えて「個人主義」という観点から眺めるとなかなか面白い分析が出来そうです。そもそも「個人主義」という考えがそれなりに体系化されたのはやはりフラン…

聖書と炭火

時々我が家に若いキリスト教伝道者が訪ねて来るようになり6年以上になるでしょうか。宗教勧誘も押し売りと同じような感覚を少々持つのですが、彼が初めて我が家を訪れた時、暇にしていたこともあったのか、またその頃たまたま読んでいた本の中のキリスト教に…

【共同体と個との関係考察】

基本的には、人間は社会的動物ですから、否が応でも群れないと生きて行けない存在です。一つの仮説として、共同体(群れ)の「規模」と「個」の関係は反比例のような気がします。 「群れ(の規模)」×「個(の自由度)」=一定 群れの規模を国家や世界という…